
2026年2月14日(土)3月15日(日) / 30日間
静岡県島田市川根町抜里
鑑賞無料
実践の蓄積から、創生の現場へ
[ 大井川芸術創生譚]
2018年から続いてきた「UNMANNED 無人駅の芸術祭/大井川」は、無人駅という象徴的な場所を起点に、人が減り、無人と呼ばれるようになった地域に今も残る暮らしや記憶、人と人との関係性に、アートを通して向き合う実践として始まりました。
活動は次第に無人駅から集落の中へと広がり、茶畑や空き家、寄り合いの場、日々の営みの中へと深く入り込んでいきます。人の営みに近づくことで、表現は土地の時間や記憶に触れ、それに呼応するように、アーティストの姿勢や関係性も変化してきました。
本企画では、大井川の流れとともに重ねてきた芸術祭と抜里の歩みを、大井川コレクションとして捉え直し、参加アーティストの作品や映像を通して、その実践の蓄積を振り返ります。
加えて、村上誠、村上渡(天地耕作)は、本企画が芸術祭への初参加となります。天地耕作は、1988年から2003年まで、芸術祭という枠組みとは距離を保ちながら、土地に身を置き、風土や生業との関係性を編み直す表現を続けてきた美術家です。
抜里という一つの集落を美術の視点で深く掘り下げていくことは、この土地固有の物語にとどまらず、日本各地に共通する風景や課題、そしてこれからの地域のあり方を映し出すことにもつながっています。
大井川芸術創生譚は、風景や人のあいだに、新しい兆しが生まれていく過程です。
風景の奥にある人の気配や、積み重ねられてきた時間に目を凝らし、美術という視点を重ねることで、今この場所で生まれつつある変化の兆しが、きっと立ち上がってくるはずです。
大井川芸術創生譚 総合ディレクター 兒玉絵美(NPO法人クロスメディアしまだ)
Event
Artist
東弘一郎/SHINN UCHIDA/形狩りの衆/小山真徳/鈴木一生/佐藤悠/さとうりさ/TAKAGIKAORU/戸張花/西田秀己/堀園実/村上誠・村上渡(天地耕作)/and more・大井川コレクション
Access
News
主催 : NPO法人 クロスメディアしまだ
総合プロデューサー / ディレクター
大石歩真 兒玉絵美
「目は醒めない、凝らすのだ。」
― 大井川芸術創生譚について ―
「UNMANNED 無人駅の芸術祭/大井川」は、2018年より、無人駅という象徴的な場所を起点に、人が減少し、無人と呼ばれるようになった地域に残る暮らしや記憶、人と人との関係性を、美術の実践を通して捉え直す試みとして継続してきました。無人駅にとどまらず、集落、茶畑、空き家、寄り合いの場といった生活の場へとフィールドを広げながら、表現と土地との関係を更新してきた点に、本芸術祭の特徴があります。
本年度、この実践を「大井川芸術創生譚」として位置づけています。大井川という当エリアを流れる一本の川を基軸に、流域の風土、人々の営みと記憶を、美術という視点を通して読み解き、その関係性がいまどのように生成しつつあるのかを提示する試みです。
抜里地域を掘ること、日本を捉え直すこと
主要な舞台となる静岡県島田市川根町抜里集落は、一見すると限定的な場所に見えます。しかし、土地に根ざした生業や自然との距離感、世代を超えて受け継がれてきた技術や知恵を読み解くことで、近代以降の日本社会が周縁へと押しやってきた価値や、均質化の過程で見えにくくなった風景が浮かび上がってきます。
抜里という一つの集落を美術の方法で掘り下げることは、日本社会全体を相対化し、捉え直すための視座を獲得する行為でもあります。
村上誠・村上渡(天地耕作) ― 土地と表現の関係を編み直す実践
天地耕作は、1988年から2003年にかけて、自然と人の関係性そのものを表現として立ち上げてきたアーティストユニットです。農耕や自然との身体的な関わりを通して制作されてきた実践は、制作と生活、芸術と生の境界を問い直すものとして位置づけられてきました。
本企画は、村上誠・村上渡(天地耕作)にとって初めての芸術祭参加となります。抜里という集落に身を置き、土地の履歴や環境、人々の営みに向き合いながら展開する今回の作品は、これまで天地耕作が重ねてきた実践を、現在の文脈へと接続するものです。
ぼいんぼいん山アートトレイル ― 山の記憶をたどる
集落の住民が道を整え、アーティストの作品設置を通して協働でつくり上げてきた「ぼいんぼいん山アートトレイル」では、佐藤悠、鈴木一生、戸張花の三名が参加します。
佐藤悠は、地域住民とのコミュニケーションを通して山に刻まれてきた記憶や語りを掘り起こし、それらを鑑賞者にとっての道しるべとして提示します。
鈴木一生は、民俗学的な視点から人の行為と道具の関係に注目し山と人との関係史を浮かび上がらせます。
戸張花は、鉄や石といった素材を用い、時間の痕跡をトレイルルート上に写し取ります。
堀園実は、六甲ミーツ・アート公募部門準グランプリを受賞した「風や水を切る / Familiar or Stranger」を設置します。琉球漆喰による有機的な造形は、風や水といった自然の流れを感覚的に可視化し、山を行き交う身体と環境との関係を静かに問いかけます。
大井川コレクション ― 実践の再構成
これまで大井川流域で本芸術祭を通して展開されてきた作品群を「大井川コレクション」として再構成します。各作家がどのように大井川という土地を捉えてきたのかを読み返すことで、多層的な大井川と集落の姿が立ち上がります。本企画は、当芸術祭に初回から参加してきた西田秀己がプロデュースします。
回遊する鑑賞者として
会期中、鑑賞者はマップを手に「大井川コレクション」/「天地耕作」/「ぼいんぼいん山アートトレイル」という三つのルートを回遊します。歩き、立ち止まり、風景と向き合う行為そのものが、抜里における新たな兆しを、アーティストや地域の人々とともにつくり出していくプロセスとなります。
本芸術祭では、作品や地域との関係が、会期を通じて、またその後も変化し続けることを前提としています。
大井川という一本の川を軸に、美術の実践を通して流域の風土や営みを読み解くことで、これまで見過ごされてきた価値や関係が、別の輪郭をもって立ち上がってきます。
ぜひ現地を訪れ、ご自身の身体と視線を通して、この生成のプロセスに参加してみてください。
この芸術祭は、鑑賞されて完結するものではなく、関わる人の数だけ異なる読みと未来をひらいていく場であり続けます。
主催 : NPO法人 クロスメディアしまだ
総合プロデューサー / ディレクター 兒玉絵美




















